あの過去メンバー2人のスキャンダルからの脱退騒動からというもの、精神科医の動画や日本の歴史から成る性認知の歪み、依存症患者の心理についての考察などを片っ端から読み漁り、ポリアモリーやポリセクシュアルという新しい概念も学習し、せっかく自分なりに心の整理をつけた手前、映像を観てネガティブな感情がぶり返す事が怖くて、まだ開けてないライブDVDとかも山積みだったし、「はたして初ライブのあのキラキラした想い出には、どのくらい傷が付いてしまったのだろう。その傷はたった数ヶ月で修復可能なものなのだろうか」と拭えない疑問を持ちながら恐る恐る映像を再生しました。結果、まだ強い痛みはあれど、僕の傷はちゃんと綺麗な瘡蓋になっていました。

映像が流れ始め、彼らが登場して深くお辞儀をした瞬間に「あぁ、これができるのに、なんで身近な子達にはあんな事をしちゃったんだ……」て2人のやってしまった事の大きさを再認識してとても悲しさがぶり返したけれど、ああいうスキャンダルは司法の場ならともかく、ゴシップとして表に出たなら証拠はあれど何かしらの意図を持って出されているものだと思うし、司法の場が完全に信頼できるものではなくなってしまっているならば、根本的には当事者や周囲の人間全員が「社会のバグと認知の歪み」に目を向けて真剣に「加害者、被害者、周囲のニンゲン含めて今後誰も困らないためには」を考えていかないと解決しないと思うし、過不足ない清算が起こらない限りは当事者たちには永遠に平穏は訪れないとは思いつつ、それでもやっぱり楽しかった想い出も蘇ってきて、同時にスーパームーンの歌詞とか、鮪さんの「ロックヒーローでありたい」の辺りのMCでまた情緒がベコベコになって……

「あぁ……この4人だからこそのあの味を手放すのは、正直かなり勿体無いけど、やっぱこれは切らざるを得なかったよな……相手や周囲にかなり重めな実害を出してしまった手前、流石に周囲がフォローできる範囲を超えているし、バンドが売ってる方向性が誠実純愛プラトニックラブだもんな……」という納得感と共に、後続の新規ファンのためにも、KANA-BOONの後遺症は全部僕がいただくぞ……という気持ちを新たにしました。僕の体はもうマトモには使い物にならない感じだから、金銭なんかの物理的な事では役に立てても雀の涙くらいのものだと思うけど、精神的な部分のお掃除に関しては、この清らかさ暖かさをファン皆が享受できる環境を維持するためなら僕はなんだってできそうだ……と思いました。

もちろん、僕はあまり優れた人間ではないし、僕が考えつく範囲での僕なりのやり方でしかできなくて、結局は受け取り手次第なところもあるから、完璧に綺麗にする事はできないとは思うんです。そもそも何よりも思うのは、心の整理が必要であるだろう人達にとって最適な物が出せているかすら、心の整理を「自力でやってしまえた」今の僕には分からない。

でも、過程も含めてなるべく中立に考えていった想いを表に出す事で、心の闇に目を向けた際の苦痛の軽減とか、立ち直りへのショートカットとして使ってもらえる部分はあるのかなと。

誰かにとっては見つめるにはあまりにグロテスクな反面、また誰かにとっては忘れられない想い出でもあり……そういったある種の二面性って、全ての事柄にある物だと思うし、自分で自分のご機嫌を取ることが必要不可欠ではあるけれど、最終的に「後続する人間が誰も困らない世界を創る」という所をゴールに据えれば、僕らの受けた苦しみにも価値が生まれて、愛へ昇華出来ると思うから。

なるべく、関わった全ての人に幸せでいてほしいです。