僕自身が体験している最中だから尚の事思う。困り事を悪として殲滅しようとするのと、困り事を解決するのを諦めるの、どちらが正しい選択なのか。

二者択一だと上記のような悩みがずっと付きまとうけれど、最近は「誰かが困っているという事実」を受け入れた上で粛々と困りを解決しようとする姿勢が大切な気がしている。

「誰かが困っている」は社会の皆の事も指すが、どちらかといえば衝突している当事者たちの事を指すのが健全だと思う。よわいものいじめのような、やり方が一方的なものの場合はどう取り繕っても最終的に清算が起きてしまうが、ケンカをしている相手だって、相手なりに困ってはいるのだ。

お互いの困りを解決する事に目を向けられれば、二者択一は打って変わって選択肢が一つになる。外野がやれる事は、我を忘れて怒りまくっている人たちに、相手の目を見る事の大切さを、己の実力内で過不足なく伝える事を試みるのみではないだろうか。

故に、「清濁合わせ飲むという行為」自体は僕から見れば正しい選択だ。争いを産まない、皆が信頼し合える「誰も困らない世界」には必要な事だと思う。

だけど、ただ濁ったものを合わせ飲むだけで問題のタネに対して見ないフリをするのは「臭い物に蓋をする」というのと同義だと思う。人体にとって発酵と腐敗が別物であるように、一時逃れからの問題放置はいずれ修復不能な崩壊を招くので、「自分たちを無毒化・自浄する為の清濁合わせ飲む」が、本来この言葉が指しているものなのではないかと思った。

睨み合うのではなく、そっぽを向くのでもなく、見つめ合うものだけが最終的に生き延びる。僕の目に映る世界はきっと、そういう風にできている。