ネットで「性産業は福祉」という事を主張していた人を発見し、「福祉」と「ボランティア」の名の下に行われる無意識の差別や搾取・暴力について、ずっと考えている。

相手の為と言って差し出した手に、画鋲が乗っている人達がいる。

本人達は本気で相手を助けたいし、相手も本気で助かりたいと思っているのに、画鋲に気づかないせいで相手はイジメや搾取・暴力だと認識しているし、実際イジメや搾取・暴力の構造になってしまっている。そして、手を差し出す側には画鋲が乗っていなくても、手を取る側の手に画鋲が付いているというパターンも多い。なんならお互いに画鋲が乗っていて、言語や認識のすれ違いからケガさせ合っているうちに殺し合いに発展していく事もある。

それを指摘された時に、不機嫌になる事なく手のひらの画鋲をとり除ければ良いのだが、一部地域の「指摘を受ける事を恥と捉える人種」は、お顔を真っ赤にして暴れてしまうようである。むずかしい。

福祉は三角形でないと成り立たない。中立のマインドで裁定する者→助ける者→助けられる者という力関係が確立していないと、あっという間に崩壊してしまう。施す者か、施される者が驕った瞬間、終末のラッパが鳴り響く。驕った者への清算が始まる。当然である。自分を不用意に傷つけない人間と仲良くしたいのはお互い様だからだ。自分のおいなりさんに振り回されて人を不当に傷つけるのであれば、最後には居場所がなくなって独りぼっちになったってしょうがない。

ボランティアもまた、円になって血の巡りが循環していないと成り立たない。助けられた者が助ける者を支えなければ「継続的なサポートが困難なため、誠に遺憾ではございますがサービスを終了させていただきます。長年のご愛顧、誠にありがとうございました」ENDである。

福祉とボランティアは、相手の話に心から耳を傾け、己の恥を認めて寄り添いと改善の努力ができる、心(EQ)・技(IQ)・体(物事を成し遂げる為の各種バイタリティや財力)のバランスが良い人間のみが扱える勇者の剣(あるいは魔剣シャルトス)なのだろうと思う。

福祉やボランティアを積極的にやりたい人間は、自分が「完成された上位存在」であるという幻想を捨てて、人間は等しく赤い公園の曲「108」の精神を持っていると仮定して事に当たると良いのだと思う。当てはまらない人は自己申告してくれるかもしれないし、自己申告されなくても、自己申告を促しながら丁寧に接すれば殆ど問題は起こらない。殆ど起こらないはずの問題が起きてしまった時には、己の実力不足か環境の準備不足、もしくは天命である。助ける側が賢くて偉いとか、全ての人間は己と向き合わなくても助けられて当然とか、そんな事はないよ。悲しいけれど。

因みに、助かりたい人の中でも とりわけ水底の方に居る子は、これまた赤い公園の曲「ドライフラワー」の文脈に生きている。相手に干渉するつもりでいるのならば、そもそも自分に助けられるだけのチカラがあるかどうかを見極める事も含め、まずは自分と相手に見えている世界は違うという前提を認識するのは大切な事だと思う。リアル「違う冬のぼくら」状態である。

(あのゲーム、マジで面白そうだからいつかプレイしてぇ〜〜〜)

そして完璧な人助けを出来ているヒーローほど、自他境界を適切に把握した上で、自分以外の人間に興味がある人のような気がしている。視野を広く持った上で一途な行動ができるのが、真のヒーローだと思う。